升色紙臨書　紺紙金泥（深養父集歌2～歌43）

清書用　臨書用紙

升色紙　臨書　紺紙金泥　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

深養父集　断簡　（11世紀中頃～１２世紀初頭の頃の書写と考えられる）

色紙は当時、色紙（いろのかみ＝素色・白具引を含む染紙の料紙のことで、今日の「いろがみ」＝折り紙とは異なる）のことで、大きさや形を意味するものではなく「しきし」と呼んでいた様である。今日でいう処の色紙（しきし）は無く当時は色紙形と呼ばれて、屏風や壁面・襖などの絵の中に歌を書くスペースとしての桝形が設けられていた。

現存する三十三葉の内、七葉については部分的に継紙を行ったと思われる個所が存在する（歌11、歌23、歌24、歌26、歌27、歌29、歌39）。即ち美しい散らし書きの部分に倣って後の世の人が、左右の余白を作ったり、或いはまた行間の余白を作ったりして一葉の色紙に仕立てたものである。恐らくは当時流行っていた茶の席で、一服の絵の中の色紙形宜しく、鑑賞で自慢する為のものであったのかも知れない。それだけ当時の色紙の散らしの評価が高かったということになる。

臨書用紙はこちら


なつのよは	うちはへて	さきにけり	杏花と云題を	三月つごもりがた	山櫻見て	はるゆきのふるひ
紺紙金泥	紺紙金泥	紺紙金泥	紺紙金泥	紺紙金泥	紺紙金泥	紺紙金泥
なつのよは	うちはへて	さきにけり	杏花と云題を	三月つごもりがた	山櫻見て	はるゆきのふるひ

			はなすすき	かみなゐの	きえかへり	いくよへて
			紺紙金泥	紺紙金泥	紺紙金泥	紺紙金泥
			はなすすき	かみなゐの	きえかへり	いくよへて

かな書　歌番号は宮内庁書陵部本（桂宮本）「深養父集」による

４寸６分×４寸	はるゆきのふるひかきくもりふゆにおくれてふるゆきの　　　　　　はるともけ　ふ　みえで今日くらし　　　　　　　　　つつ使用字母者留由支乃不留悲可支久毛利不由爾於久禮弖布留由支能　　　　　　　者留止无身衣天今日久良之　　　　　　　　　　　　徒々
春、雪の降る日歌２　　かきくもり冬に遅れて降る雪の、春とも見えて今日くらしつつ　　　　急に肌寒くなって来たかと思うと一気に暗雲が訪れて、はらはらと雪が舞ってきた。春はまだまだ遠いのかな、と感じながら何時もの様に過ごすことよ。春雪は暖められて湿った空気が一気に冷やされて降る為、ふわりとした牡丹雪のことが多い。	参考（桂宮本）「かきくもり冬にをくれて降る雪の、春ともみえて今日もくらしつ」
４寸４分×３寸７分	山櫻見てはるがすみなにかくすらんやまざくら　ちるまをだにもみる　　　　　べきものを使用字母山櫻見弖者留可寸三那二可久　春良无也万左久良知留万遠太耳毛三留　　　　　　　　部支毛乃遠
、山桜見て歌３　　春霞なにかくすらむ桜花、ちるまをだにも見るべき物を　　　　　　　　　　　春霞、何故桜を隠しているのか。せめて散る間だけでも観られる様にして欲しい物であるのに。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、	藤田美術館蔵
４寸６分×３寸６分	三月つごもりかたよりやまみづよりはなのながれいづるをみてはなちれる水のまにまにとめくれば　　　　　　　　　　　, やまにははるも　　　　　　とまらざり　　　　　　　　　　　けり使用字母、　　　　　　　　　　、三月川己毛利可多與　　、、　　　　　　　　　　　　　　, 利、也万美川與利者那農奈可礼以川留遠三弖　　コノ　　　　　　　　　　　　　　　　　、者那知礼留水乃万耳々々止女久礼盤　　　　　　　　　　　　　　　、也万耳盤々留毛　　　　　　　　　止万良左利　　　　　　　　　　　　　　　　遣利
三月晦方（より）、山水より花の流れ出づるを見て歌４　　花散れる水のまにまにとめくれば、山には春もとまらざりけり　　　　　　　　　三月三十一日、山の谷間より流れ出る水に花が浮いているのを見て散った花が水の流れるが儘にここに尋ねて来るということは、山には春も留まって居られないということよ。	「與利」の右に見消の「、・、、」の文字「者那」の右に「コノ」の文字「水」の下に重なって「美知」の文字が隠れている参考（桂宮本）「花ちれる水のまにまにとめくれば、山には春もなくなりにけり」
４寸４分×３寸７分	からもものはな　　　、杏花と云題をあふからもものはなほこそかなし　　　　　　　　けれ　　わかれむことをかね　　　　　ておもへば使用字母杏花止云題遠安不可良毛々能者奈本己曾可奈之　　　　　　　　　　　　　遣礼　　　和可礼武己止遠可子　　　　　　　　天於无部盤
杏花と云う題を歌５　　あふからも物は猶こそ悲しけれ、別れむことを予ねて思えば　　　　逢ってからも物（心）はそれでも悲しいものだ、いずれ別れてしまうことを想像できるのだから。	参考（桂宮本）から桃といふたひを「あふからも物は先こそ悲しけれ、別れんことをかねて思えば」杏（からもも）；杏子（あんず）の古い名。唐桃。中国原産の果物で甘酸っぱく美味しい。種は実から離れ易く仁を乾燥した物が杏仁。杏仁豆腐はこの水菓子。
４寸４分×３寸７分	さきにけりいまはや　　　まべのさくらはな　　　　　　　　かすみ　　たたずはよそに　　　　　　　みてまし使用字母左幾二計利以万者也　　万部乃左久良者那　　　　　　　　　可春三　　太々春波與曾二　　　　　　　　美天末之
歌６　　さきにけり今は山辺の桜花、霞立たずはよそに見てまし　　　　　　　（霞が立ち始めていたのでふと山辺を見ると）今を盛りに山辺の桜が咲いている、もし霞が立ち始めてなければ他所事に見ていたでしょうに。	参考（桂宮本）「さきにけりけふは山べの桜花、霞立たずはいそぎに見てまし」
４寸３分×４寸	うちはへてはるは　　　　　けさばかりのどきを　　　花のこころやなに　　　　　いそぐらん使用字母宇知者部弖者留波　　　　　　計左者可利乃止支遠　　　　　花農古々露也那二　　　　　　　　以所久良无
歌８　　うちはへて春はさばかりのどけきを、花の心やなにいそぐらん　　　　引き続いて春はたいそうのどかなのに、花の心は如何してそんなに散り急ぐのだろうか。	「さばかり」の「さ」は「可」ともよめるが、さばかり；たいそう。たいへん。かばかり；こんなにも。これほど。花；単に花と云う場合には梅か桜平安以降は桜がの事多い。香を伴う場合には梅。
４寸６分×３寸６分	なつのよはまだよひな　　　　がらあけぬるをくも　　　　　　のいづこにつきかくる　　　　　らん使用字母那川乃與八万多與比奈　　　可良安計奴留遠久毛　　　　　　　乃以川己耳　川支可久留　　　　　　　　　良无
歌１１　夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを、雲のいづこに月かくるらん　　　 2行目と3行目とは仮名を少し絡めて書いてあり。夏の夜はまだ宵に入ったばかりでも、もう直開けてしまうのに。先程まで見えていた月は一体何処に隠れてしまったのだろうか。	参考（桂宮本）月のあかかりける夜「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを、雲のいづこに月やどるらん」夏の短夜を惜しむ風情を詠ったもの

上記の升色紙を臨書した紺紙は約４０年程前に作成した紺紙です。本鳥の子に２０～３０回ほど藍を塗り重ねていったものです。時間と手間が掛かる為、現在はこの製法では作成しておりません。ラフな撮影の為光の反射で見辛くなっておりますがお許し下さい。

臨書用紙

正規品２８枚入になります

ネットショップへ

升色紙

　清書用１冊６２７０円（税込）

清書用　雲母紙１

朽葉色

清書用　雲母紙２

薄藍色

清書用　雲母紙３
しろいろ　　　　　
素色（ﾍﾞｰｼﾞｭ）

　ページ

練習用　30枚入

練習用臨書用紙へ

ハクビ製清書用臨書用紙として制作している本品は、刷毛にてボカシを入れたもので、雲紙風にあつらえたものです。
手作り製品の為、製作途中で発生する色むら､刷毛むら、汚れ、キズ等僅かの違いで規格外となったものを特価提供しております。程度はピンからキリまで御座いますが､中には見た目殆ど変わらないものも含まれている場合も御座います｡
溪雨資料館にて”一部やや難あり”のものを　３１９０円（税込）でお分け致しております。数に限りが御座いますのでご了承ください。
正規品の清書用については､お近くの書道用品店でお求めになれます｡
正規品の価格についてはこちら
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ご注文は　ＴＥＬ（086‐943‐8727）、又はにて

４寸６分×４寸	はるゆきのふるひかきくもりふゆにおくれてふるゆきの　　　　　　はるともけ　ふ　みえで今日くらし　　　　　　　　　つつ使用字母者留由支乃不留悲可支久毛利不由爾於久禮弖布留由支能　　　　　　　者留止无身衣天今日久良之　　　　　　　　　　　　徒々
春、雪の降る日歌２　　かきくもり冬に遅れて降る雪の、春とも見えて今日くらしつつ　　　　急に肌寒くなって来たかと思うと一気に暗雲が訪れて、はらはらと雪が舞ってきた。春はまだまだ遠いのかな、と感じながら何時もの様に過ごすことよ。春雪は暖められて湿った空気が一気に冷やされて降る為、ふわりとした牡丹雪のことが多い。	参考（桂宮本）「かきくもり冬にをくれて降る雪の、春ともみえて今日もくらしつ」
４寸４分×３寸７分	山櫻見てはるがすみなにかくすらんやまざくら　ちるまをだにもみる　　　　　べきものを使用字母山櫻見弖者留可寸三那二可久　春良无也万左久良知留万遠太耳毛三留　　　　　　　　部支毛乃遠
、山桜見て歌３　　春霞なにかくすらむ桜花、ちるまをだにも見るべき物を　　　　　　　　　　　春霞、何故桜を隠しているのか。せめて散る間だけでも観られる様にして欲しい物であるのに。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、	藤田美術館蔵
４寸６分×３寸６分	三月つごもりかたよりやまみづよりはなのながれいづるをみてはなちれる水のまにまにとめくれば　　　　　　　　　　　, やまにははるも　　　　　　とまらざり　　　　　　　　　　　けり使用字母、　　　　　　　　　　、三月川己毛利可多與　　、、　　　　　　　　　　　　　　, 利、也万美川與利者那農奈可礼以川留遠三弖　　コノ　　　　　　　　　　　　　　　　　、者那知礼留水乃万耳々々止女久礼盤　　　　　　　　　　　　　　　、也万耳盤々留毛　　　　　　　　　止万良左利　　　　　　　　　　　　　　　　遣利
三月晦方（より）、山水より花の流れ出づるを見て歌４　　花散れる水のまにまにとめくれば、山には春もとまらざりけり　　　　　　　　　三月三十一日、山の谷間より流れ出る水に花が浮いているのを見て散った花が水の流れるが儘にここに尋ねて来るということは、山には春も留まって居られないということよ。	「與利」の右に見消の「、・、、」の文字「者那」の右に「コノ」の文字「水」の下に重なって「美知」の文字が隠れている参考（桂宮本）「花ちれる水のまにまにとめくれば、山には春もなくなりにけり」
４寸４分×３寸７分	からもものはな　　　、杏花と云題をあふからもものはなほこそかなし　　　　　　　　けれ　　わかれむことをかね　　　　　ておもへば使用字母杏花止云題遠安不可良毛々能者奈本己曾可奈之　　　　　　　　　　　　　遣礼　　　和可礼武己止遠可子　　　　　　　　天於无部盤
杏花と云う題を歌５　　あふからも物は猶こそ悲しけれ、別れむことを予ねて思えば　　　　逢ってからも物（心）はそれでも悲しいものだ、いずれ別れてしまうことを想像できるのだから。	参考（桂宮本）から桃といふたひを「あふからも物は先こそ悲しけれ、別れんことをかねて思えば」杏（からもも）；杏子（あんず）の古い名。唐桃。中国原産の果物で甘酸っぱく美味しい。種は実から離れ易く仁を乾燥した物が杏仁。杏仁豆腐はこの水菓子。
４寸４分×３寸７分	さきにけりいまはや　　　まべのさくらはな　　　　　　　　かすみ　　たたずはよそに　　　　　　　みてまし使用字母左幾二計利以万者也　　万部乃左久良者那　　　　　　　　　可春三　　太々春波與曾二　　　　　　　　美天末之
歌６　　さきにけり今は山辺の桜花、霞立たずはよそに見てまし　　　　　　　（霞が立ち始めていたのでふと山辺を見ると）今を盛りに山辺の桜が咲いている、もし霞が立ち始めてなければ他所事に見ていたでしょうに。	参考（桂宮本）「さきにけりけふは山べの桜花、霞立たずはいそぎに見てまし」
４寸３分×４寸	うちはへてはるは　　　　　けさばかりのどきを　　　花のこころやなに　　　　　いそぐらん使用字母宇知者部弖者留波　　　　　　計左者可利乃止支遠　　　　　花農古々露也那二　　　　　　　　以所久良无
歌８　　うちはへて春はさばかりのどけきを、花の心やなにいそぐらん　　　　引き続いて春はたいそうのどかなのに、花の心は如何してそんなに散り急ぐのだろうか。	「さばかり」の「さ」は「可」ともよめるが、さばかり；たいそう。たいへん。かばかり；こんなにも。これほど。花；単に花と云う場合には梅か桜平安以降は桜がの事多い。香を伴う場合には梅。
４寸６分×３寸６分	なつのよはまだよひな　　　　がらあけぬるをくも　　　　　　のいづこにつきかくる　　　　　らん使用字母那川乃與八万多與比奈　　　可良安計奴留遠久毛　　　　　　　乃以川己耳　川支可久留　　　　　　　　　良无
歌１１　夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを、雲のいづこに月かくるらん　　　 2行目と3行目とは仮名を少し絡めて書いてあり。夏の夜はまだ宵に入ったばかりでも、もう直開けてしまうのに。先程まで見えていた月は一体何処に隠れてしまったのだろうか。	参考（桂宮本）月のあかかりける夜「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを、雲のいづこに月やどるらん」夏の短夜を惜しむ風情を詠ったもの