寸松庵(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻二・春下
具引唐紙『亀甲紋』(蜜柑茶色)「花の散る」 田中親美氏作模写本
寸松庵色紙は古今和歌集の四季の歌を精撰して書写したもので、佐久間将監が京都大徳寺の離れ寸松庵で愛玩していた事により、寸松庵色紙と名付けられたもの。元々堺が繁盛していた頃に南宗寺の襖に三十六枚の色紙が貼られており、その内の十二枚を寸松庵に譲り受けたもの。残りの幾つかは烏丸光弘が譲り受けている。
茶掛けとして古筆が持て囃されてくると、この小さな色紙もその散らし書きの美しさからやがて陽の目を見ることとなり、後の世に高値で取引されるに至った。
歌『花のちる ことやかなしき はるがすみ・・・』へ、 歌『秋の夜は つゆこそことに わびしけれ・・・』へ、
歌『しらつゆの いろはひとつを いかにして・・・』へ、 歌『あきはきぬ もみぢはやどに ふりしきぬ・・・』へ。
かな 水色文字は使用時母
12.5cmx12.8cm |
ふぢはらのちかげ 花のちる ことやかな し き は る が す み、 たつたの山の うぐ ひ す の こ ゑ 使用時母 不知者良乃千可介 花乃知留 己止也可那 之 支 者 留 可 春 見、 堂川多乃山乃 宇久 比 春 乃 己 恵 |
ふぢはらののちかげ 藤原後蔭 108 花の散ることや悲しき春霞、竜田の山の鶯の声。 (今まで美しく咲いていた梅の)花の散ってしまうことは寂しく物悲しいものです、春霞が立ち朧げな竜田山の辺りからは鶯の鳴く(泣く)声も聞こえれ来ますね。 たつたやま 竜田山;奈良県の北西部生駒郡の竜田川の西側にある一帯の山。 はるがすみ 春霞;枕詞。「立つ」「ゐる」「おぼ」などにかかる。 蜜柑茶色具引唐紙・白雲母『亀甲紋』(全面) |
漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 写真は料紙模写前の木版。この時にはまだ模写料紙ができておらず、後程模写料紙で作ったものが出来上がる事となる。 蜜柑茶色;赤、黄丹とすることも。 |
右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製) これまでの清書用には入れられていない柄 (上製のみ) (普通清書用では同色同柄の物を利用してください、右側) |
上製 普通清書用 清書用 蜜柑茶色具引唐紙・白雲母『亀甲紋』 |
このページの
(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻四・秋上
具引唐紙『瓜唐草』(薄茶色)「秋の夜は」
かな 水色文字は使用時母
12.8cmx13.7cm |
秋の夜は つゆこそ ことに わびしけれ くさむら ご 〃 〃 のわぶれ とに つゆ ば む し 使用時母 秋乃夜盤 川由己曾 己止仁 和悲之个礼 久佐武良 己 〃 〃 乃和不礼 東爾 川由 盤 武 之 |
(詠人不知) 199 秋の夜は露こそ殊に侘しけれ、草むら毎に虫の侘ぶれば。 秋の夜は(涙を置くようで)露こそ殊に物悲しいものです、草むらのあちこちで虫の音も悲しんでいる様に聞こえてきますから。 うりからくさ 薄茶色具引唐紙・白雲母『瓜唐草』(相生唐草・全面) |
漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 写真は料紙模写前の木版。この時にはまだ模写料紙ができておらず、後程模写料紙で作ったものが出来上がる事となる。 薄茶色;茶とすることも。 |
右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製) これまでの清書用には入れられていない柄 (上製のみ) (普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください、右側) |
上製 普通清書用 清書用 薄渋黄土色具引唐紙 白雲母『瓜唐草』 |
(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻五・秋下
具引唐紙『牡丹唐草』(薄渋黄土色)「白露の」
かな 水色文字は使用時母
11.7cmx12.8cm |
としゆき しらつゆの いろは ひとつを いかにして あきのこのはを ちぢ に そ む ら ん 使用時母 東之由支 之良川由乃 以呂盤 悲止川遠 以可爾之天 安幾乃己乃者遠 知々 爾 所 无 良 无 |
藤原敏行 257 白露の色はひとつを如何にして、秋の木の葉を千々に染むらん 白露の色は只一色なのに(露が下りる毎に)、どうやって秋の木々の葉を様々な錦に染め上げることが出来るのだろう。 終わり二文字を「とも」と読むと 白露の色はどうして只の一色なのだろうか、(露が下りる毎に)秋の木々の葉をたとえ様々な錦に染めることが出来ようとも。 薄渋黄土色具引唐紙・白雲母『牡丹唐草』(中唐草・全面) |
漢字の意味の通じるものは漢字で表記 一行は一行に、繰返しは仮名で表記 写真は料紙模写前の木版。この時にはまだ模写料紙ができておらず、後程模写料紙で作ったものが出来上がる事となる。 ら ん と も 5行目「良无」は「止无」とも読めるが、 薄渋黄土色;黄、黄茶、薄茶とすることも。 |
右の写真はこの箇所に該当する清書用臨書用紙(左が上製) これまでの清書用には入れられていない柄 (上製のみ) (普通清書用では薄渋黄土色柄無の物を利用してください、右側) |
上製 普通清書用 清書用 薄渋黄土色具引唐紙 白雲母『牡丹唐草』 |
(寸松庵色紙・古今和歌集抄本) 巻五・秋下
具引唐紙『不明』(薄茶色)「秋は来ぬ」
かな 水色文字は使用時母