継色紙 (4寸5分5厘×4寸5分5厘)
古今和歌集 粘葉本・帖 染紙(木版摺)明治末期模写本
料紙一葉を使い、一葉の左半分(左項)若しくは右半分(右項)に歌一首を納めた様式のもの。
同様式の歌が2首存在しております。
濃紺色(こいこんいろ) 13.4cmx26.8cm |
恋三 山時鳥 明日香河 明日香河 恋焦れ 梓弓 奥書 |
田中親美氏監修の継色紙で明治末期の模写本です。鳥の子紙に版木刷(木目の跡が見てとれます。) 「恋三」 かつみつつなほ ややみなむおは らきのうきたの もりのしめなら なくに 可川見徒々奈本 夜々美難無於者 良幾乃宇幾多能 毛里乃之女那良 奈久耳 (よみびとしらず) 万葉集(巻十一;恋歌) 冊子は原本よりも大きく作られておりますが、中は木版刷りによる原寸大の物が収められて居ります。 |
解説へ (現代語訳) |
「勝見つつ尚ややみなむ大原木の 浮田の森の標ならなくに」 現代語訳 浮田に生えてる勝見じゃないけど次々と眺めながら尚その上更にも見てしまうだろうあの大原女の持つ薪を、浮田の森の領地を示す標木である訳じゃ無いのに。 解釈 大原女が持つ薪を我領地を表す標縄用の標じゃないかと何度も見てしまう疑心暗鬼を詠んだのか、或は何度も見直す大原女を女を見ている訳じゃないと照れ隠しに詠んだ歌か。何れとも取れる。 なむ;…てしまうだろう。きっと…だろう。確述完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」に推量の助動詞「む」の付いたもので、強い推量を表す。 大原木;大原女が京都へ売りに出る薪。 浮田;泥田の意で、泥の深い田。イネ科の大型多年草「真菰(=勝見草)」の生える田の事か。「勝見草」は「勝見」とも言い和歌ではよく「且つ見」と掛詞として使う。 ならなくに;…ではないのに。…ではないから。断定の助動詞「なり」の連体形「なら」に打消しの助動詞「ず」のク用法「なく」更に助詞「に」 ページ |