継色紙 (4寸5分5厘×4寸5分5厘)          戻る 臨書用紙 継色紙へ 
   古今和歌集 粘葉本・帖 染紙(木版摺)明治末期模写本

料紙一葉を使い、一葉の左半分(左項)から上の句を書出し、右半分(右項)に下の句(の一部)を戻して
歌一首を納めた様式のもの。同様式の歌が5首存在しております。


茶紫色(ちゃむらさきいろ

  継色紙 明治末期写本 『供累々閑度』 茶紫色  
13.4cmx26.8cm

継色紙 明治末期写本 恋歌 
恋三

継色紙 明治末期写本 『山時鳥』
山時鳥

継色紙 明治末期写本 『明日香河』(上の句)
明日香河
継色紙 明治末期写本 『明日香河』(下の句)
明日香河

継色紙 明治末期写本 『恋しさに』 
恋焦れ

継色紙 明治末期写本 『梓弓』 
梓弓

継色紙 明治末期写本 奥書 
奥書
田中親美氏監修の継色紙で明治末期の模写本です。既に継いだ状態で作成されております。

「上の句」(左項)             「下の句」(左項)   「下の句の一部」(右項)
 くるるかと みればあけ ぬるなつのよを あかすと や
   なく山 ほととぎ す
 
供累々閑度 美連者阿遣 奴留那川乃與遠 安可須止 夜    奈久山 本止々木 寸

                                          (壬生 忠岑)
古今集(巻三;夏歌) 寛平の御時后の宮の歌合せの歌

左に上の句が来て、右半紙に下の句の一部が来ております。

冊子は原本よりも大きく作られておりますが、中は木版刷りによる原寸大の物が収められて居ります。

 解説へ
 (現代語訳)

「暮るるかと見れば明けぬる夏の夜を 飽かずとや鳴く山時鳥」
現代語訳
日が暮れてしまったかと思っていたらもう夜が明けてしまう夏の短い夜を、まだ物足りないとでも云うのか、山で時鳥が鳴いているよ。
解釈
(六月の夏の短夜を未だ夜が明けないで欲しい、まだまだな鳴き足りないとでもいう様に、山の方でけたたましく時鳥が鳴いているなあ。)との意。


あがず;「飽かず」と「明かず」との掛詞。

とや;…というのか。格助詞「と」に係助詞「や」が付いた形で疑問の意を表す。ここでは「…と云ふや」の略。
やまほととぎす
山時鳥;山に住んでいる杜鵑。単に時鳥を表す場合も。 また時鳥の鳴声は恋心を掻き立てるものとして屡々和歌に登場している。


壬生忠岑;平安時代前期の歌人で、三十六歌仙の一人であり古今和歌集の撰者の一人。同じく平安前期の歌人であった安綱の子で、忠見は子供である。家集に「忠岑集」があり、澄んだ感じの叙景歌で温和な歌風が多い。古今集以下の勅撰集に81首が入集している。歌論集に「和歌体十種」(忠岑十体)があるが忠岑にかこつけて作成した偽書とも目されている。生没年未詳。


                                                     
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