継色紙 (4寸5分5厘×4寸5分5厘)          戻る 臨書用紙 継色紙へ 
   万葉集 粘葉本・帖 染紙(木版摺)明治末期模写本

料紙二葉を使い、一葉の左半分(左項)に上の句を納め裏面には墨入れしないで、
もう一葉の右半分(右項)に下の句を納めた様式のもの。同様式の歌が8首存在しております。


薄渋草色(うすしぶくさいろ)

  継色紙 明治末期写本 『安春可々盤』 上の句 薄茶色  
13.4cmx26.8cm

継色紙 明治末期写本 恋歌 
恋三

継色紙 明治末期写本 『山時鳥』
山時鳥

継色紙 明治末期写本 『明日香河』(上の句)
明日香河
継色紙 明治末期写本 『明日香河』(下の句)
明日香河

継色紙 明治末期写本 『恋しさに』 
恋焦れ

継色紙 明治末期写本 『梓弓』 
梓弓

継色紙 明治末期写本 奥書 
奥書
田中親美氏監修の継色紙で明治末期の模写本です。色違いの二紙に書かれております。水色文字は使用字母

「上の句」あすかがは せぜの たまものう ちなひき          「下の句」(こころは君 により しもの を)
     
安春可々盤 勢々能 多末母濃宇 千那悲支
                                           (よみびとしらず)
万葉集(巻十三;)


冊子は原本よりも大きく作られておりますが、中は木版刷りによる原寸大の物が収められて居ります。

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 (現代語訳)

               薄茶色(うすちゃいろ)
継色紙 明治末期写本 『あすかがわ』 下の句 薄茶色





 解説へ
(現代語訳)










水色文字は
使用字母

                              「下の句」こころは君 により にしもの を
                                  
己々呂者君 爾余里 二之毛乃 越
よく目を凝らすと木目が映し出されているのが見てとれます。


「飛鳥川瀬々の玉藻の打ち靡き 心は君に寄りにしものを」
現代語訳
飛鳥川の瀬毎に生えている水草が靡く様に、心は貴方に引き寄せられて好意を感じてしまいますから。
解釈
(飛鳥川の瀬毎に生えている水草が横に流れて靡く様に、到る所で私の心は貴方に流れる様に引き寄せられて一途に好意を感じてしまうのですから。)との意。

打ち靡き;心が引き寄せられて。考えが傾いて。「打ち靡く」の連用形。緩やかに横に揺れ動く。

にし;…であるので。…なので。断定の助動詞「なり」の連用形「に」に語調を整え強意を表す副助詞「し」。

ものを;…ので。…だから。形式名詞「もの」に間投助詞「を」が付いた形、順接で原因・理由の確定条件を表す。

あすかがは

飛鳥川;奈良県高市郡高取山に源を発し、明日香村を通って北流して大和川に注ぐ川。淵瀬の定め無き事で有名で、世の無常に喩えて古来より和歌に詠まれてきた。歌枕。


                                                     
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