田中親美模作本 その2
元永本古今和歌集の模作本です。元永本古今和歌集については、飯島春敬先生の解説と小松茂美先生の解説とで解釈に若干の差異が御座いますので、料紙制作の立場上加工につきましては、親美先生を含めた三者の解説を基に総合的な判断を行い独自の解釈を行っております。特に色の表現につきましては、現在の見た目と異なり臨書用紙ではやや新作感の残るものとなっております。以下に一部を掲載しておきますので参考にして下さい。
元々の料紙は表、具引唐紙・裏、装飾料紙(染金銀切箔砂子)で、白・紫・黄(黄茶系)・赤(赤茶系)・緑で15種類の唐紙模様が使われています。
1折には同柄5枚(小口10枚、項にして20項分)の唐紙料紙が使用されております。(但し上巻第10折のみ2柄使用)第1折実際の並び順へ
項=ページのことです。(解説中の項数は、それぞれの第○○折中での項数になります。)
(解説中の項数は、それぞれの第○○折中での項数になります。) 上巻・第8折 紫ぼかし金銀大小切箔砂子ノゲ振 第一紙裏面 |
花襷紋裏面 具引ぼかし 金銀切箔砂子ノゲ 上巻 第8折(中切箔砂子) 第15折(中切箔砂子) 下巻 第3折(小切箔) 第10折(小切箔) 解説及び使用字母へ 写真は第8折 第一紙裏面料紙 この部分の臨書用紙へ 左側1項目 右側20項目部分 |
||||
古今和歌集巻第四 秋歌上 上巻 第8折 巻第二 春歌下 上巻 第8折、 写真左側20項(第一紙料紙裏面の右側半分) 写真右側1項、(第一紙料紙裏面の左側半分、表面はこちら)
止むべきものとはなしに儚くも、散る花毎に類ふ心か。 押し留めておくべきものとはしないで、儚くも散ってゆく花毎に同じ様に儚い思いを感じ取ってしまうのでしょうか。 135 濡れつつぞ強いて折つる年の内に、春は今日をし限りと思へば。 雨に濡れながら無理を押して折り取ってきました(藤の花を)年の内にと、春は今日こそで最後と思いましたので。 175 秋風の吹きにし日より久方の、天の川波立たぬ日は無し。 秋風の吹いてしまったその日より、天の川面に立つ白波が立たない日は無い。 176 久方の天の河原の渡し守、君渡りなば楫隠してよ。 天上界にあると云う天の河原の渡し船の船頭様、愛しの君が渡って来たならば楫を隠して(帰れなくして)よ。 177 天の川紅葉を橋に渡せばや、たなばたつ女の秋をしも待つ。 天の川に紅葉を橋として渡したならば、機織姫は秋でさえも(逢える日を)待っているでしょうか。 178 恋々て逢う夜は今夜天の川、霧立ち渡り明けずも在らなむ。 心惹かれる相手に会いたいと心底願って逢える夜は今宵の天の川、霧が一面に立ち込めてきっと(視界の)明けないこともあるでしょう。 ページ |
(上巻通しでは141項、160項目) 濃紫花襷紋裏面 写真は具引隈ぼかし部分、金銀大小切箔砂子ノゲ振。 第8折のノゲ振は4項分(料紙としては2枚) たぐ 類ふ;添い並ぶ。連立つ。似合う。 やよひ つごもり 弥生の晦の日; 陰暦三月末日 渡し守;渡し船の船頭。 ひさかた 久方の;枕詞。「天」にかかる たなばた め 棚機つ女;機を織る女。織姫。 天の河原;日本神話で天上界に在るとされている河原。天の川の河原。 |
||||
上巻・第8折中 18項目、 具引唐紙『花襷紋』 上巻・第1折中 11項目、空摺唐紙『二重唐草(重ね唐草)』 |
二重唐草 上巻 第1折(具引空摺) 第2折(具引空摺) 花襷紋 上巻 第8折(具引唐紙) 第15折(具引唐紙) 下巻 第3折(具引唐紙) 第10折(具引唐紙) 解説及び使用字母へ 写真右側 第1折表面料紙 この部分の臨書用紙へ 写真左側 第8折 第二紙表面料紙 この部分の臨書用紙へ |
||||
古今和歌集巻第四 秋歌上 上巻 第8折、 古今和歌集巻第一 序 上巻 第1折 写真左側18項目、花襷紋(中色紫具引唐紙) 写真右側 11項目、二重唐草(重ね唐草) (1〜4項目は欠如、5〜10項目は墨入れ無し。)
秋来ぬと目には清かに見えねども、風の音にぞ驚かれぬる。 秋がやってきたと目にはハッキリとは見えないけれども、風の気配で(ハッと)気づかされてしまうものですよ。 立秋の日に、殿上人たちが賀茂の河原で川遊びをしている時に、お供として出かけて詠んだ歌。 ページ |
(上巻通しでは11項目、158項目) 茶字は次項に有 花襷紋 写真は白雲母使用部分 ギラ打柄は白雲母及び黄雲母を使用、黄雲母は下巻のみで使用数計6枚 うへのをのこ てんじょうびと 上の男;殿上人 しょうよう 逍遥; あちらこちらをぶらぶらと歩く事。散歩。 世俗を離れ心の欲するままに静かに暮らすのを楽しむ事。 |
||||
上巻・第3折中 20項目、濃緑染・金銀大小切箔砂子ノゲ振 上巻・第3折中 12項目、白色具引・金銀大小切箔砂子振 |
芥子唐草裏面 白具引 金銀大小切箔砂子 濃緑染 金銀大小切箔砂子ノゲ 上巻 第3折(具引空摺)裏面 1枚のみ濃緑(渋草色) 第4折(具引空摺)裏面 下巻 第2折(具引空摺)裏面 解説及び使用字母へ 写真右側 第3折 第五紙裏面料紙 写真左側 第3折 第一紙裏面料紙 この部分の臨書用紙へ |
||||
古今和歌集 序 上巻 第3折、 写真左側 20項目、濃緑染・金銀大小切箔砂子ノゲ振 写真右側 12項目、白色具引・金銀大小切箔砂子振
なに愛でて折れるばかりぞ女郎花、我落ちにきと人に語るな。 その名でもって賞美しようとして今ちょうど女郎花を折り取ろうとしていたところですよ、でもね私が馬から落ちてしまった事は人には言わないでおくれよ。 20 月やあらぬ春や昔の春ならぬ、我身一つは元の身にして。 月でさえ違っている、春にしても昔の春とは変っているというのに、私自身(の身の上)は何も変わらす元のままなのですよ。 月はあの時の月では無いのだろうね、春もやはりあの時の春とはどこか違っている様に思われるよ。私ばかりが昔を引きずったままだったのだね。との意 30 思い出でて恋しき時は初雁の、鳴き渡るとも人の知らなむ。 思い出して、離れている人がどうしようもなく愛おしくて切ないほどに心惹かれる時は、たとい初雁の鳴き渡る声が響いたとしても人々の知るところとなってしまうでしょう。 31 鏡山いざ立寄りて観て行かむ、年経ぬる身は老いやしぬると。 よし決めた、自分の姿を映し出してくれると云う鏡山に立ち寄ってその姿を見て行くとしよう。年を重ねて来た我が身が年老いて見えるのかどうか、という事をね。 ページ |
(上巻通しでは52項、60項目) 芥子唐草裏面 白色の具引に金銀大小切箔砂子振部分。 芥子唐草裏面 濃緑色染に金銀大小切箔砂子ノゲ振部分。 ありわらのなりひら 在原業平; 平安初期の歌人。六歌仙、三十六歌仙の一人。阿保親王の第五子で在五中将ともいわれる。自身の歌が多用された伊勢物語の主人公と混同され、色好みの美男として伝説化された。 鏡山;歌枕。 滋賀県蒲生郡と野洲郡との境にある山。 茶字は次項に有 しぬると;様々な自動詞の代用となるサ変動詞「為」の連用形「し」に完了の助動詞「ぬ」の連体形「ぬる」、更に目的・状況・原因・理由などを示す格助詞「と」の付いたもの。 |
||||
上巻・第10折中 7項目、具引唐紙『小唐草』 上巻・第9折中 2項目、具引唐紙『菱唐草』 |
菱唐草 上巻 第9折(具引唐紙) 第16折(具引唐紙) 下巻 第9折(具引唐紙) 第16折(具引唐紙) 小唐草 ≪小重唐草≫ 上巻 第10折(具引唐紙) ※但し料紙2枚分のみ 第17折(具引唐紙) 下巻 第11折(具引唐紙) 第18折(具引唐紙) 解説及び使用字母へ 写真右側 第9折 第一紙表面料紙 写真左側 第10折 第四紙表面料紙 この部分の臨書用紙へ |
||||
古今和歌集巻第四 秋歌上 上巻 第10折、写真左側 7項目、小唐草 上巻 第9折、写真右側 2項目、菱唐草
年ごとに逢ふとはすれど七夕の、寝る夜の数ぞ少なかりける。 毎年逢う事が出来るとはいえ、七夕の煉る夜の数はなんと少ないことでしょう。 182 棚機に借りつる糸の打ち延へて、年の緒長く恋や渡らむ。 棚機で借りてしまった糸は幾久しく、年の緒の如くにきっと永く恋い慕って年月を経ることでしょうね。 183 今夜来む人には会わじ七夕の、久しき程に逢えもこそすれ。 今夜来るであろう人には合わない心算だ、七夕には久し振りでこそ逢えるのだから。 249 里は荒れて人は振りにし宿なれや、庭も籬も秋の野良なる 里は荒れて馴染みでない客の宿だからであろうか、庭も籬も草木が野原の様に伸び放題に成って荒れ果てて、まるで秋の野良の様ですよ。 ページ |
(上巻通しでは162項、187項目) 打ち延て; 久しく。引き続いて。 年の緒; 年が永く続くことを緒に例えていう言葉。 恋や渡らむ きっと恋い慕って年月を経るでしょう。 振り; 通りすがりで馴染みでないこと。 人が相手にしない。 まがき 籬; 竹、柴などを粗く編んで作った垣。 なれや;指定の助動詞「なり」の巳然形に疑問の係助詞「や」の付いたもの。 ・・だからだろうか。 |
||||
上巻・第12折中 4項目、金銀大小切箔砂子ノゲ振 上巻・第10折中 8項目、金銀大小切箔砂子振 |
小唐草 裏面 ≪小重唐草≫ 上巻 第10折(具引唐紙)裏面 ※但し料紙2枚分のみ 第17折(具引唐紙)裏面 下巻 第11折(具引唐紙)裏面 第18折(具引唐紙)裏面 唐子唐草 裏面 ≪大唐子唐草≫ 上巻 第12折(具引空摺)裏面 下巻 使用なし 解説及び使用字母へ 写真右側 第10折 第四紙裏面料紙 写真左側 第12折 この部分の料紙へ |
||||
古今和歌集巻第五 秋歌下 上巻 第12折、写真左側 4項目、大唐子唐草裏面 上巻 第10折、写真右側 8項目、小唐草裏面 黄茶染 金銀大小切箔砂子ノゲ振 白具引 金銀大小切箔砂子振
吹くからに野辺の草木の萎るれば、むべ山風を嵐と云ふとも。 吹くことによって野辺の草木が萎れるならば、なるほど、たとい山風を嵐と云ったとしても頷ける。 251 草も木も色変れども海神も、波の花にぞあきなかりける。 草も木も色づきその姿が変わるけれども、(波飛沫の)湧き立つ海も波の花だけには秋(の色)は無かったなあ。 313 道知らば訪ねも行かむ紅葉を、幣に手向けて秋は往にけり。 道を知っていたならば訪ねて行くことも出来たでしょうに、紅葉の葉を幣として御供ええして(峠の)秋は去ってしまいましたよ。 ページ |
(上巻通しでは188項、224項目) むべ 宜;うべ 本当に。道理で。なるほど。など肯定する意で使う言葉。 わだつうみ; 海神のことか。 ぬさ 幣; 麻・木綿・紙などで作り、神に祈る時に供えたり、祓として捧げ持つもの。 御供え物。 旅の折道祖神に撒き散らし手向けとしたもの。 手向け;峠 幣をお供えする道祖神の有る所の意から。 茶字は次項に有 嵐; 麓の草木を荒らすので「荒らし」、なので山から麓に吹き下ろす風を「あらし」と呼び漢字に書起すと山の下に風が吹くので「嵐」となる。 「あらし」は「荒らし」と「嵐」との掛詞。 波の花;白波の白い泡や水飛沫を花に例えて言う語。 |
||||
上巻・第16折中 7項目、 具引唐紙(白色)『菱唐草』 上巻・第16折中 6項目、 具引唐紙(薄黄茶)『菱唐草』 |
菱唐草 上巻 第9折(具引唐紙) 第16折(具引唐紙) 下巻 第9折(具引唐紙) 第16折(具引唐紙) 解説及び使用字母へ 写真右側 第16折 第三紙表面料紙 写真左側 第16折 第四紙表面料紙 この部分の料紙へ |
||||
古今和歌集巻第八 離別歌 上巻 第16折、写真左側 7項目、菱唐草 上巻 第16折、写真右側 6項目、菱唐草
君が行く越の白山知らねども、雪の随意にあとは訪ねむ。 君が行くという霊峰白山にはまだ行ったことはないけれども、雪の降るがままに(晴れ間を縫ってでもして)後で訪ねて行きましょう。 392 夕暮れの籬は山と成りななむ、夜は越えじと宿り取るべく。 夕暮れ時の籬は山と成ってしまって欲しいものだ、(危なくて)夜の山は越えられないからと、きっと宿を取るに違いないから。 |
(上巻通しでは306項、307項目) しらやま はくさん 白山;白山の古称。 石川県・岐阜県にまたがる信仰の山。富士山・立山と共に日本三霊山の一つ。 標高2702m。 「越の白嶺』とも云う。 まにま 随意に; 物事の成り行きに任せるがままに。 かざん 花山;(花山院) 花山天皇の邸宅。 当時の東一条院辺り(今の京都御苑内)のことか 或は遍照の創建した元慶寺(がんぎょうじ、後に花山天皇が出家してからは花山寺とも)のことか。 ゆふ かた 夕つ方;夕方 ななむ; ・・してしまってほしい。 完了の助動詞「ぬ』の未然形に願望の助動詞「なむ」の付いたもの。 |
||||
下巻・第2折中 12項目、茶染・金銀小切箔振 下巻・第1折中 2項目、空摺唐紙『花唐草』 |
花唐草 上巻 第13折(具引空摺) 下巻 第1折(具引空摺) 第20折(具引空摺) 芥子唐草裏面 金銀小切箔 上巻 第3折(具引空摺) 1枚のみ濃緑(渋草色) 第4折(具引空摺) 下巻 第2折(具引空摺) 解説及び使用字母へ 写真右側 下巻第1折 第一紙表面料紙 写真左側 下巻第2折 第五紙裏面料紙 この部分の料紙へ |
||||
古今和歌集巻第十二 恋二 下巻 第2折、 古今和歌集巻第十一 恋一 下巻 第1折 写真左側 12項目、茶染・金銀小切箔振 写真右側 2項目、薄茶色具引空摺 花唐草 芥子唐草裏面
時鳥鳴くや五月の菖蒲草、文目も知らぬ恋もするかな 五月の水辺には菖蒲草も生い茂っている何処かで時鳥がけたたましく鳴いていて、菖蒲草の名の文目の様に理性で物事の善悪、道理を区別してわきまえる事なんて出来ない恋などもしてしまうかもしれないなあ。 557 思ひつつ寝ればや人の見えつらむ、夢と知りせば覚めざらましを 思いながら寝たならば人は見る事が出来るであろう、(とても叶わぬ事だが)もし夢と判っていたならば覚めないでいてほしいものだ。 558 転寝に恋しき人を見てしより、夢と云いしはたのみ染めてき 転寝をして恋しい人を夢に見てしまった時より、夢と云うのは(そうなる事を)あてにして思い委ねてしまいましたよ。 ページ |
(下巻通しでは2項、32項目) 花唐草 表面は全て具引空摺 芥子唐草裏面 金銀小切箔 表面は全て具引空摺 あやめぐさ 菖蒲草; ショウブの別名。水辺に生えるサトイモ科の多年草で葉には芳香があり、端午の節句には菖蒲湯とする習わしがある。 あやめ 文目; 物の筋。条理。分別。 たのみ 憑;あてにすること。 てき; ・・してしまった。 完了の助動詞「つ」の連用形に回想の助動詞「き」の付いたもの。 |
||||
下巻・第7折中 4項目、 銀小切箔砂子振 下巻・第3折中 17項目、金銀小切箔振 |
花襷紋裏面 金銀切箔 上巻 第8折(中切箔砂子) 第15折(中切箔砂子) 下巻 第3折(小切箔) 第10折(小切箔) 丸獅子唐草 ≪獅子二重丸紋唐草≫ 上巻 第5折(具引唐紙)黄雲母1枚 第19折(具引唐紙)黄雲母1枚 下巻 第7折(具引唐紙) 第14折(具引唐紙 解説及び使用字母へ 写真右側 下巻第3折 第二紙裏面料紙 写真左側 下巻第7折 第二紙裏面料紙 この部分の料紙へ |
||||
古今和歌集巻第十五 恋歌五 古今和歌集巻第十二 恋歌二 下巻 第7折、写真左側 4項目、丸獅子唐草裏面 下巻 第3折、写真右側 17項目、花襷紋裏面 薄茶具引 銀小切箔砂子振 紫染 金銀小切箔振
「頼めつつ逢はで年経る偽りに、懲りぬ心を人は知らなむ」 頼りにさせておきながら会わないようにして(心を隠して)年月を過ごす情の偽りに、懲りずに続ける心情をきっと人々は知ってしまうでしょう。 (気を持たせておきながら己の心を偽って出来る限り合わない様にして年月を流していることをみて、未だにお慕い続けている想いに人々はきっと気付いてしまうのでしょうね。)との意。 620 「命かは何ぞも露の徒物は、逢ふに仕替へば惜しからなくに」 命とは何とまあ露のごとき儚いものでしょう、逢うことをやり直す事が出来るなら惜しくもないのでしょうけど。 古今和歌集巻第十五 恋歌五 (五条の后宮の西の対に住みける人に、穂には在らで物言い渡りけるを、正月の十日あまり許りになむ) 五条のお后様の西の御殿でお仕えしていた女御に、自分は表に現れる事無く恋心を言い続けて日を過ごしておったのですが、正月の十日過ぎ辺りになって…だろう。 |
(下巻通しでは57項、124項目) 七宝紋 具引唐紙(ギラ打唐紙) ぞも;(旧は「そも』) ・・ぞまあ。 指定の助詞「ぞ」に詠嘆の助詞「も」を付けた言葉。 あだもの 徒物; 儚い物。もろい物 仕替え; やり直す事 。 西の対;寝殿造りで寝殿の西側にある対の屋敷。二の対とも。寝殿とは渡り廊下で結ばれている。 たい 台;うてな 四方を観望できるように作った高台。高殿。 言い渡る; 言い続けて日を経過する。 永い間言い寄る。 五条の后宮;藤原順子 仁明天皇の女御で、文徳天皇の母親。 |
||||
下巻・第20折中 5項目、 金銀小切箔振 下巻・第7折中 6項目、 具引唐紙『丸獅子唐草』 |
丸獅子唐草 ≪獅子二重丸紋唐草≫ 上巻 第5折(具引唐紙)黄雲母1枚 第19折(具引唐紙)黄雲母1枚 下巻 第7折(具引唐紙) 第14折(具引唐紙 花唐草裏面 金銀小切箔 上巻 第13折(具引空摺) 下巻 第1折(具引空摺) 第20折(具引空摺) 解説及び使用字母へ 写真右側 下巻第7折 第三紙表面料紙 写真左側 下巻第20折 第三紙裏面料紙 この部分の料紙へ |
||||
古今和歌集巻第二十 大歌所御歌 古今和歌集巻第十五 恋歌五 下巻 第20折、写真左側 5項目、花唐草裏面 下巻 第7折、写真右側 6項目、丸獅子唐草 薄茶染 金銀小切箔振 淡(薄黄茶)具引 白雲母
月やあらぬ春や昔の春ならぬ、我身一つは元の身にして。 月はあの時の月では無いのだろうか、春も昔の春では無いのだろうか、私だけがあの時の私のままで!。 (月でさえ違っている、春にしても昔の春とは変っているというのに、私自身(の身の上)は何も変わらす元のままなのですよ。) 752 花薄我こそ下に思いしか、穂に出でて人に結ばれにけり。 我こそはひそかに恋心を抱きたいものだ、さもないと表面に出てしまっては世の人々に結婚させられてしまう。(過去に有ったことを回想して、以前はそうだったから) 1112 千早振る賀茂の祭りの姫小松、萬代までに色は変はらじ。 勢い強く振舞いながら舞う葵祭の姫小松、この先ずっと万代までも(松の葉色の様に、祭のの趣も係わる人々も)その風情は変わらないであろう。 かもわけいかずちじんじゃ かもみおやじんじゃ 賀茂神社;賀茂別雷神社(上賀茂神社)。賀茂御祖神社(下鴨神社)の総称。何れも官幣大社。 かんぺいたいしゃ へいはく 官幣大社;社格の一つで、古くは神祇官から幣帛を捧げた神社。(明治以降より、廃止sれる第二次大戦前までは宮内庁から) 大社、中社、小社、別格の区別があった。主に皇室尊崇の神社。天皇、皇族、功臣などを祀る神社。 おおうたどころおうた かぐらうた さいばら ふぞくうた 大歌所御歌;日本古来の歌で神楽歌・催馬楽・風俗歌等の総称を大歌と呼び、これらの教習や管理を司った役所で採用されていた歌。平安時代初期に設置され、古今和歌集巻第二十にここで採集された歌32首が採録されている。大歌は9世紀ごろに雅楽とは切り離されて大歌所の管轄とされたもので、歌詞は古今集の他記紀歌謡や琴歌譜等に見られる。歌と舞と器楽からなる音楽で、現在でも天皇即位などの宮中式典に付随した行事などとして奏される。 ページ |
(下巻通しでは126項、385項目) はなすすき 花薄;(花芒)枕詞 「穂にいづ』にかかる。 穂に出づ; 表面に出る。 下に思い;(下思い) ひそかな恋心を抱く しか;・・したい。 自分がそうしたいという願望を表す用語。 賀茂の祭り; 葵祭。賀茂神社の祭 京都の上賀茂神社・下鴨神社の祭り 姫小松;(五葉松) 短葉で五枚葉の背丈の低い松。枝ぶりが好い。 東遊歌に出てくる。 加茂の社の姫小松 |
唐紙文様名中の≪ ≫内の呼名は小松茂美先生の著書での呼称です。
正規品の清書用については、お近くの書道用品店でお求めになれます。
正規品の価格についてはこちら
ご注文は TEL(086‐943‐8727)、又はにて