三十六人集 重ね継 (清書用臨書用紙)
重ね継とは破り継の中の一技法で、一つの破り継の紙片の部分に同じ形で同系色の濃淡の紙片を五枚重ねて、少しずつずらして移ろいゆく色のグラデーション楽しむ技法です。十二単の襲の色目に見立てたのでしょうか、美しいのですが作業としては途轍もなく大変に為ります。一か所に同じものが五枚ですから三か所あれば十五枚、契って貼ってを繰り返すことに成ります。当然それに伴う染の作業も十五回必要になります。(破り継であれば、三枚3回で済みます。)
重ね継の部分の料紙は薄様の斐紙が使用してあり、重なっていてもあまり厚味を感じない様にしてあります。その分途中の作業は大変に為ります。継口の端から端までをほぼ同じ位の幅で貼らなければ美しくありませんが、なよなよとして皺に成り易く、幅を揃えるのも難しいのに一か所に五回も揃えなければなりません。美しさの陰には涙ぐましい努力が有ることをご理解ください。
重ね継には、表面の料紙から台紙に掛けて徐々に薄くなってゆく順目と台紙に掛けて徐々に濃くなってゆく逆目のものとが有ります。
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西本願寺本三十六人集には様々な装飾料紙が使用されております。具引唐紙を始め、染紙や具引紙或はこれらに暈しや絵・金銀彩を施した装飾料紙、破り継料紙、重ね継料紙及び切継料紙等で、殆どの料紙に金銀で花鳥折枝が描かれているのが特徴です。当時集められる凡その美術料紙がふんだんに用いられております。
三十六人集で使われております重ね継の一部です。凝った作りの物から、あっさりとしたものまで様々です。
素性集・重ね継 書手本 縦6寸7分、横1尺5分5厘 歌番号は素性集での通し番号 青色文字は使用字母
「礼」は「禮」とすることも。 「爾」は「尓」とすることも。 ( )は次項にあり。 そせいほうし へんじょう よしよりのあそん 素性法師;遍照の子、出家して雲林院に住み歌僧となる。またの名を良因朝臣とも云う。 ページ |